《地球の皮膚を剥ぐ》1990 
W 6000
D 8000
H 3000

地面に大きな穴を堀り、地層を剥き出しにするプロジェクト。

神戸市西区・学園都市の住宅を建設する前の分譲地を借りて、地面に穴を掘り、その断面をあらわにした。スコップやツルハシで掘り始め、途中からは削岩機やベルトコンベヤーをも駆使して、土を掘り出す。榎は仕事の後、毎晩、250m2もの広さの土地を岩盤に突き当たるまでの半年間掘り続けていたという。プロジェクト進行中、葉の化石などが見つかり、1000万年前に形成された岩盤まで掘り進んだと判明した。その後、穴は埋められて新しい住宅が建設された。

小学生の頃から地層や化石に興味があった榎は、淡路島の野島断層や大阪の箱作など各地の古い断層に出向き、本プロジェクトを実現させる土地を探していた。ちょうどその頃、神戸市・学園都市の開発工事が始まり、貝化石の出ることで知られる高塚山断層が表出する。その土地を偶然にも知人が購入。榎は、家を建てる前のその土地を借りて、プロジェクトを敢行することができた。次々と山が崩され、土地が開発されていくが、その下にも岩盤はある。それを見て、地球が生きていることを感じて欲しいと榎はいう。

広島現代美術館における「表出する大地」展(1997)では、美術館内の屋外展示場の地面を掘る『肘山蠢動(ひじやましゅんどう)』を出品している。